【箭内道彦氏 基調講演】プレミアムフェス2017 レポート 

 

2016年2月16日(火)目黒パーシモンホールで行われたイベント「プレミアムフェス」。就活生に向けたさまざまなコンテンツにご好評いただきました。
その中でも特に会場を参加者でいっぱいにしたのが、クリエイティブディレクター箭内道彦氏の基調講演。箭内氏の作品紹介VTRから始まった講演は、平日の朝10時半という時間にもかかわらず、会場があっという間に満員に。当日参加できなかった皆さまのために、ダイジェスト版ですが、その内容をちょっとだけお届けします!

 

-自身の就職活動を振り返って-

僕は就職以前に、大学に入る時点で3年浪人をしていました。東京芸術大学のデザイン科は当時、倍率が50倍で、「だったら50回受ければいいや」ぐらいの気持ちにやっとなれた4度目の受験で受かったんです。だから、就職をするときにはもう、周りよりも年を取ってしまっていて、大学院を出た人たちよりも年上でした。

 

最初僕は、「サンリオ」に行きたかったんです。自分がデザインした便箋で中学生の女の子がラブレターを書いて、その子の恋が叶ったら素敵だなって考えていました。自分が作ったもので誰かを幸せにすることがもしできたらって思ったんです。でも、サンリオに勤める人を訪ねてお話をうかがったところ、「男子は要らない」と言われ、泣く泣く断念をしました。

 

そのあと博報堂を受けて、縁があって入社することができたんですが、デザイナー採用だったのでまず作品面接と実技試験がありました。今思うとなんの根拠もないんですが、そのときは「トップで通過してるな」という感覚があったんです。

 

ですが、最終の重役面接のとき、当時、副社長だったと思いますが、「君はうちの会社に来て、なにがしたいんだ?」と言われて、「人を幸せにしたい」というようなことを言ったんです、サンリオに入りたかった気持ちのまま。そうしたら「その気持ちで入社したら、君は挫折するよ」と言われたんです。でも僕は、自分の言いたいことを言えたし、実技はトップレベルだと思っていて。結果として合格の電報は来て入社できたのですが、入社したあとに制作部門の担当役員から、「お前が面接のときにした話は、点数がすごく悪かった」と言われて。「なんとか自分たちが育てるから勘弁してやって欲しい」というようなかたちで入社をさせてもらったという経緯もありました。


-なりたい職業より、やりたいこと-


僕が今日、ここで一番言いたかったことがあります。

 

「なりたい職業よりやりたいこと」ということです。

 

就職は、職業にひとまずたどり着く大切なチャンスではありますが、「この仕事がしたい」と強く思いすぎると、就職がゴールになってしまいます。

 

たとえば「コピーライターになりたい」と思う気持ちはとても大事ですが、コピーライターになれたあと、「あれ、自分はどんなコピーライターになりたかったんだっけ、何がしたかったんだっけ」ということがわわからなくなって消えていったコピーライターが僕の上にも下にもたくさんいます。だからコピーライターになって世の中を変えたいとか、頑張っている人を応援したいとか、なって何をしたかったのかを考えてみるといんじゃないかと思います。それを考えていれば、もしコピーライターになれなくても、人生真っ暗にはなりません。

 

広告代理店に勤めたい、テレビ局に勤めたいというだけの目指し方はとても危ういと思うし、それが叶わなかったとき、すべてを否定された気持ちになってしまいます。だから、横軸で、自分がやりたいことと、それを叶えることができそうな職業を、複数自分の中に持っておくといいと思います。

 

僕も、博報堂の当時の重役の方には僕の思いは届かなかったんですが、「人を幸せにしたい」という気持ちは今も変わっていません。

 

-広告で応援したい-

人を幸せにしたいと言いましたが、もうひとつ、広告という仕事に対して思っているのは「応援」という意味合いです。

 

商品を応援したり、商品を作った人を応援したり、商品を使う人を応援したり。たとえばタワーレコードであれば、「NO MUSIC,NO LIFE.」という広告で音楽自体を応援したいと考えています。

 

僕は3年間、NHKのトップランナーというトーク番組の司会をさせていただきました。広告をつくることとテレビに出ることは別、という捉え方もできるかもしれません。でも、僕にとっては、ゲストの魅力を視聴者に伝えることでゲストの思いを応援するということなんです。

 

福島県のクリエイティブディレクターを務めさせていただいているのも、故郷への応援。

 

「広告することは応援すること」と広告代理店の人たちみんなが思っているわけではありません。広告は世の中を変えること、広告することはお金を儲けること、そう思っている人もいるかもしれません。そんな中で僕は「応援」というキーワードに出会えて、自分のやるべき仕事がやっと見えてきたと思っています。

 


今年の4月から僕は母校の東京芸術大学の准教授になります。3年続けて落ちているとき、まさか30年後に自分が学校で教える側になるとは思ってもみませんでした。今みんなが自分に対して想像していることを超えたことがこれからどんどん起きると思います。それを夢中で楽しんで、苦しんでもがいて、受け止め続けてほしいです。

 

みなさん、頑張ってください。ありがとうございます!

 

 

箭内氏は最近、渋谷区にFM局をつくっているそうです。それも、渋谷区や渋谷区で働く人、そして渋谷区で働く自分自身を応援したいという気持ちからはじまったことなのだとか。HPからボランティアの募集もしているそうです。

講演の最後には、箭内氏が手掛けた福島県の仕事の短編ドキュメンタリーアニメーションを上映していただきました。福島の今を正しく伝え、誤解を理解に変えたいという思いを込めて制作されたそうです。「みらいへの手紙」(「みらい」はひらがな)と検索すれば見ることができますので、講演に参加できなかった皆さまは、ぜひ見てみてください。

学生たちが真剣に話に聞き入った基調講演、最後は盛大な拍手で幕を閉じました。「なりたい職業よりやりたいこと」。これから就職活動が本格化していくなかで、たとえ苦しいことがあっても忘れずに、そして入社したその後もずっと心の中に大切に留めておきたいことですね。

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箭内氏を直撃インタビュー!

基調講演の前に、新アドの編集担当が箭内氏の楽屋にお邪魔して、就活生に向けたひとことをいただきました。

 


「今日もこの後の講演で話すつもりなのですが、僕はよく「なりたい職業より、やりたいこと」と言っています。もちろん就職は大事なことですが、その先で何を叶えようとするのかということが一番大事。たとえば、人を笑顔にしたいと思ったら、職業はお笑い芸人でも花屋さんでもラーメン屋さんでも良い。でももしラーメン屋さんになれなくても「自分はもう終わりだ」と思わない方が面白いと思うんです。人を笑顔にすることを実現する仕事は、他にもたくさんあるから。たとえラーメン屋さんが第一志望だったとしても。だから、その職業について何をしたいのか、ということ気付くことが大切なんだと思います。」


箭内さん、お忙しい中、本当にありがとうございました!

この記事を書いた人

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新卒アドベンチャーズの事務局が書いた記事です。

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